2018/01/21

Lightwave3D、終わっちゃう?

 私も使っているLightwave3Dは3DCGソフトウェア、モデリングからアニメーション作成までできちゃいます。あ、このディスプレイ内の表示はLightwave3Dのウィンドウっぽいですね。
 で、このLightwave3D(以下、LW)が先週バージョンアップされ、LW2018となりました。先のバージョンLW2015のリリースが2014年末だったので、丸3年ぶりとなります。でもね、この種の競争が激しい分野のアプリで3年は長い、しかも今回のバージョンアップの時期や内容の情報が出始めたのは先月なのです。実際、余りに音沙汰が無かったので、「LWは終わったか、Blender(オープンソースの3DCGソフト)にでも乗り換えるか」なんてさすがの私も思い始めたまさにその時期でした。

 それではLW2018です。良し悪しが言えるほどまだ触ってはいないのですが、現時点で印象はすこぶる悪いです。以下では、LWを使ったことがない人には分からない用語なども説明無く使います。

 あと、LW2018にはまだ完成されたマニュアル類が存在していません。実のところ、これはかなりマズい状況です。

 まずモデラー。モデラーとしての機能の追加、変更は基本的に無く、後述するレンダラーの変更に対応してサーフェイス編集が完全にノードベースに移行したぐらいの変化しかありません。

 とある国内代理店では、サードパーティー製のモデリングプラグインをバンドルしたLW2018へのアップグレードパッケージを用意しています。バンドルされるプラグインには私も以前から使っているものも含まれていて、なかなか内容は良いパッケージかと思います。が、これはモデラーの備えるモデリング機能が不十分、或いは効率が悪いことの裏返しであり、かつ今回のバージョンアップでもこの辺りの状況が全く改善されなかったことに証左とも思えます。

 レンダラーの変更の結果、サーフェイス設定に関してオブジェクトデータ(*.lwo)に互換性が無くなってしまいました。何が辛いって、スタンダード(クラシック)のサーフェイス設定を使ったLW2015オブジェクトデータをLW2018で読み込むと、サーフェイス設定が完全に削除されてオブジェクトがつやつやの灰色一色になってしまうんですよ。サーフェイス設定にスタンダードではなくノード編集を使っていても、Standard/スタンダードノードの互換性が十分でないことや機能の仕様変更や(おそらく)バグもあって設定値が変わってしまいます(特に「光沢」が・・・)。当然、LW2018で編集、保存したオブジェクトデータはLW2015では正常には開けません。

 現在Cosmozeroのデータのコンバートを試していますが、機体の金属感などが未だ以前の見た目が再現できません・・・な~んか変なんだよなぁ(溜息
  次いでレイアウト。レイアウト上でのオブジェクトの操作方法、操作感は基本的に変わりません。とは言え、レンダラーの変更の影響は大きく、マニュアルが整備されていないこともあってUIの変更などを十分に把握できていません。このため、新しいレンダラーの威力の程?も未だ試せていません。

  とまぁレイアウトに関しては特に何か言える段階では無いのですが、一点だけ言わないといけないと思うことがあります。

 LWは「モデラー」と「レイアウト」という機能の異なる2つの独立したプログラムから構成されます。しかし、他の3DCGアプリでは単一のプログラムでLWの両プログラムの機能を実現しています。LWのアプローチはPC(元々はAmiga)が非力な時代の仕様を引き継いだだけとも言えますが、実のところ、LW2015までのレンダラーではプログラムが分かれていることに特に問題を感じてきませんでした。

 しかし新しいレンダラー採用は、2つのプログラムを使うというLWのアプローチとは相容れないものでした。モデリングからレンダリングに至るワークフローが、いきなり非効率極まるものになってしまったのです。状況が完全に変わりました。

 従来のレンダラーにおけるサーフェイス設定とは「その表面がどうレンダリングされるか」の設定そのもの、つまりレンダリング結果自体の設定でした。従って、設定結果のプレビュー画像はレンダラーによるレンダリングを実行することなく作成できます。レンダリング機能を持たないモデラーでも十分参考にできるプレビュー画像が得ることができるため、それらを参考にモデラー上でサーフェイス設定ができた訳です。

 ところがLW2018の新しいレンダラーはいわゆる物理ベースレンダラーです。物理ベース手法におけるサーフェイス設定とは「その物体表面の物理的、光学的な特性値」の定義であり、レンダラーという一種の「見た目シミュレータ」への入力値の決定に相当します。従ってプレビュー画像の作成には、簡略化したものでも良いとは言え、レンダリングというシミュレーションの実施が必要となります。故に「プレビュー画像という出来上がり(の近似値)を確認しながら」のサーフェイス設定は、レンダリング機能を持たないモデラーのみでは本質的に不可能になりました。

 モデラーにもレンダリング機能が必要、となればモデラーという独立したプログラムの存在理由は大きく揺らぎます。ついにモデラーとレイアウトを統合すべき本当の理由が露わになったのかもしれません。確かに、サーフェイス設定だけならばLW2018でもレイアウトだけで可能です。でもサーフェイス毎の範囲の変更、追加や削除はモデラーでしかできません。 モデラーとレイアウトを同時に起動しないといけないとなったら、別プログラムである必然性は何処にあるのでしょうか?

 まぁ、「シミュレーション無しで信頼性の高いプレビューが可能」ということは「シミュレーション不要」と等価ですから、物理ベース手法とプレビューは相容れないというのが本当のところなのです。が、「出来上がりを確認しながらサーフェイス設定ができる」というのが作業効率の観点からはやはり理想的なのです。

 LW2018はの売りは「物理ベースレンダラーの採用」なのでしょうが、それに伴って必要な筈のUIや機能の「本質的な」変更、再設計が為されているようには全く見えません。こんなレベルのものをリリースして平気だとすれば、論理性の欠如が明確な作り手の有り様はかなり終わっている気がします。モデリング機能の改善が無かった点、サーフェイス設定の互換性維持どころか同名ノードの互換性も必ずしも確保できていない点などには、長期的な開発ビジョンの欠如も感じられて心底がっかりさせられました。

 う~ん、Lightwave3D、終わっちゃう?

0 件のコメント:

コメントを投稿